はじめに
以前のコラムでは、メルカリAdsの自動入札の仕組み ―「pCVR(予測コンバージョン率)× 目標CPA」に基づく入札ロジック ― についてご紹介しました。
今回は、この自動入札エンジンに加わった新たなアップデートについてお伝えします。
何が変わったのか
従来の自動入札でも、広告ごとのpCVRに基づいて入札額は自動で調整されていました。コンバージョンの見込みが高いユーザーには高く入札し、そうでないユーザーには抑えるという仕組みです。
しかし、ひとつ課題がありました。
「学習中でまだデータが少ない広告」も「すでに十分なデータが揃い最適化が進んでいる広告」も、同じ方針で入札していたという点です。
学習中の広告はまだ予測精度が安定していないため、入札が低くなりがちです。すると配信機会が限られ、データが集まらず、学習がなかなか進まない ― という循環が起きていました。
今回のアップデートでは、この課題を解消するために、広告のフェーズ(成長段階)ごとに入札の方針そのものを切り替える仕組みを導入しました。
従来のpCVRベースの自動調整に加え、フェーズの目的に合わせた調整レバーが加わったことで、よりきめ細かい最適化が可能になっています。
3つのフェーズと入札の方針
システムは広告の配信状況をもとにフェーズを自動で判定し、それぞれに最適な入札調整を行います。
Learning(学習)
- 入札の方針:データ蓄積を優先し、学習を早く完了させる
- 広告主が感じる変化:imp・クリックが増え、予算消化が早まる場合がある。CPAが一時的に目標CPAからずれることがある
Optimization(最適化)
- 入札の方針:目標CPAに収束するよう入札を精緻に調整する
- 広告主が感じる変化:成果が安定し、CPAが目標付近に落ち着く
Remnant(再学習待ち)
- 入札の方針:過去実績が低い広告の配信を抑制し、リソースを有効活用する
- 広告主が感じる変化:impが減る場合がある
以前は「この広告がどれくらいコンバージョンしそうか」だけを見て入札額を決めていました。今回のアップデートでは、さらに「この広告はまだ学習中か、すでにデータが揃っているか」も考慮して、入札の戦略そのものを切り替えるようになりました。
※ このフェーズ判定と入札調整はすべてシステム内部で自動的に行われます。広告主側で特別な設定や操作は不要です。
アップデートの効果
リリースに先立ち、複数のアカウントで新旧ロジックの比較検証を実施しました。
- CV獲得数: 検証対象の約9割で改善
- 総合評価: 7割以上の広告グループで良好な結果
学習フェーズでデータを効率的に蓄積できるようになったことで、最適化フェーズへの移行が早まり、全体としてCV獲得の改善が確認できました。この結果をもとに、新ロジックを本番環境へ全面適用しています。
運用上の留意点
今回のアップデートにより、学習期間中の動きが以前より積極的になっています。以下の点をご理解いただけると、成果をより実感しやすくなります。
- 学習期間(約2週間)中は、予算消化が通常より早まる場合があります ― データ蓄積を優先しているためで、正常な動きです
- 学習期間中はCPAが変動しやすくなります ― 短期間の実績だけで判断せず、学習完了をお待ちください
- 設定変更の目安は従来どおり ― 日予算は±50%以内、目標CPAは±20%以内の段階的な調整を推奨します
- 学習を邪魔しないことが、成果を最大化するコツです
今回のコラムでは、自動入札エンジンの新たなアップデートについて解説しました。次回のコラムでは、この最新版の自動入札ロジックの効果を最大限に引き出すための「運用のベストプラクティス」についてご紹介する予定です。
メルカリAdsの広告配信最適化ロジックは、広告主の皆さまの成果最大化に向けて日々磨き込みを続けています。今後も皆さまのビジネス成長を強力にサポートできるよう、さらなる機能改善とアップデートを順次実施してまいります。これからのメルカリAdsの進化に、ぜひご期待ください。
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